2年前の選挙運動でモロッコ人の排斥を訴え、差別をあおったとして、オランダの裁判所は9日、右翼政党・自由党(PVV)のウィルダース党首に有罪判決を下した。AFP通信などが報じた。ウィルダース党首は控訴するという。
ウィルダース党首は2014年の地方選の選挙運動の際の演説で、「モロッコ人は少ない方がいいか」などと聴衆に問いかけたとされる。裁判所は「発言には他人にモロッコ出身者を差別させようとする扇動的な性質がある」と述べ、有罪とした。一方で、憎悪感情を引き起こしたというほどの「十分な証拠はない」として、検察側が求刑していた罰金5千ユーロ(約60万円)は認めなかった。
ウィルダース党首は反移民の過激な発言で知られ、トランプ米次期大統領になぞらえて、オランダの「トランプ」とも呼ばれる。オランダでは来年3月に総選挙があり、最新の世論調査ではPVVが支持率1位だが、今回の判決が影響を与える可能性もある。ウィルダース党首は、判決に対して「私を無力にさせようとしている。私を止めることはできない」などと反発しているという。(ブリュッセル=吉田美智子)