核兵器廃絶に向け、米国やロシアなどの核保有国を含む約20の国と国際機関などから約30人が参加し議論する国連軍縮会議が12日、長崎市で始まった。核軍縮へのアプローチの現状や2020年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の運用プロセスなどについて2日間議論する。
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会議は国連と外務省が共催。今回26回目で、長崎での開催は1998年以来3回目。開会式で国連のキム・ウォンス軍縮担当上級代表は「核なき世界の実現をどう達成するかには大きく意見が分かれる。相違をどう解決するか。直ちにすべての国が行動しなければならない」と述べた。初日は米国、ロシアのほか、オーストリア、マレーシアなどの非核保有国の軍縮担当者らが参加し、核軍縮について議論する。
会議に先立ち11日には、日米ロの若者が意見を交わす「ユース非核特使フォーラム」があり、原爆による悲劇を二度とくり返さないよう被爆者の思いを受け継いでいく決意を示し、すべての国に核廃絶に向けて努力するよう訴えた。
長崎原爆をテーマにした映画「母と暮せば」の上映もあり、監督の山田洋次さんと主演の吉永小百合さんが出席。山田さんは映画について「こういう悲劇が、戦争で亡くなった一人ひとり、世界中にあった。母と息子が願っていたささやかな幸せの願いがつぶれてしまった。僕のような戦争を体験した世代が伝えていかないといけないと思った」。吉永さんは「核兵器廃絶のために、日本に住んでいるものとして世界に向かって声を出してアピールしなければと思った」などと語った。(山野健太郎)