中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)が、ソニーとパナソニックの有機ELの開発事業を受け継いで昨年設立されたJOLED(ジェイオーレッド)の子会社化を検討していることが分かった。政府系ファンドの産業革新機構から株式を譲り受け、有機ELの開発を加速させる方針だ。
JDIは2017年中に革新機構が75%を持つJOLED株のうち35%超を譲り受け、今の持ち分の15%とあわせて出資比率を50%超に引き上げる方針。主要顧客の米アップルが17年以降、iPhone(アイフォーン)に有機ELを採用するとみられ、スマートフォン向けの有機ELパネルの開発が急務となっている。JOLEDを子会社化することで、開発を加速させる狙いがある。
JDIは16年3月期まで2年連続で純損益が赤字となり、成長に必要な資金を自力で調達するのが難しくなっている。筆頭株主の革新機構が今夏から支援策の検討に入っていた。JDIが発行する劣後債の引き受けなどを通じた金融支援についても調整しており、支援額は当初検討していた500億円規模から750億円規模に積み増す方向だ。
ただ、有機ELの開発には少なくとも数千億円規模の投資が必要。JDIは革新機構の支援を取り付けて信用力を高め、取引銀行から長期融資を引き出して投資に振り向けたい考えだ。