おせちもいいけど、雑誌もね――。新年に書店やコンビニエンスストアで新しい雑誌を手にとってもらおうと、出版各社が31日、雑誌や漫画、書籍などの新刊計約170点を発売する。年末年始は本の配送が止まるためこれまで新刊が出ることはほとんどなかったが、出版各社や取り次ぎ、書店が連携して実現。出版業界の「正月商戦」への参入は初めてという。
日本雑誌協会によると、大みそかに発売される雑誌は「週刊少年ジャンプ」(集英社)や「週刊少年マガジン」(講談社)、「小学一年生」(小学館)、「ザテレビジョン」(KADOKAWA)などの正月向けに特別編集した増刊号や別冊が中心で、漫画やムックも含め約130点。書籍も「鬼平犯科帳 決定版」1~3巻(池波正太郎著、文春文庫)や小説「春に散る」上・下巻(沢木耕太郎著、朝日新聞出版)など約40点を刊行する。書店で雑誌を500円以上購入すると図書カードが抽選で当たるなどの企画もある。
背景には深刻な雑誌離れがある。出版科学研究所によると、雑誌の販売額は1997年の1兆5644億円をピークに減少に転じ、2015年は7801億円。前年比8・4%減は過去最大の下げ幅だった。
一方、文芸春秋が15年の元日に、セブン―イレブン限定で「週刊文春」特別号を発売すると、ほぼ完売状態に。書店からは「この時期ほかのお店では福袋などでお客を呼び込むのに、品ぞろえが変わらないのは書店だけだ」と、本を手に取りやすい正月休みに新刊を求める声が上がっていたという。
出版社と書店の間の本の流通を…