宮内庁は26日、天皇陛下が同庁を通じて毎年公表してきた「新年にあたってのご感想」を、今回から取りやめると発表した。感想は即位翌年の1990年から欠かさず公表されてきたが、西村泰彦次長は「年末から年始にかけて大変行事が多く、陛下のご年齢を考えた」と理解を求めた。公務負担軽減策の一環という。
年末から年始にかけては、天皇誕生日(12月23日)前の記者会見、誕生日当日の一般参賀でのおことば、新年の感想、年明けの新年一般参賀(1月2日)でのおことばと、思いを明かす場が続いてきた。関係者によると、陛下は一つひとつに精力を傾けるため、負担も大きかったという。
陛下は過去、新年の感想で様々な思いを明らかにしてきた。戦後70年の2015年には「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び」と具体的な事象を挙げ、「今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」と記した。東日本大震災の翌12年は、前年に多くの人命が失われたとして「心の重い年でした」と振り返り、新年を「復興に向けて様々な計画を立て、将来への指針を選択していく年」と述べた。米同時多発テロの翌02年には「世界の安定と平和を維持するため、国々の間に更なる友好と協力が強く求められていることを感じます」と明かした。
宮内庁によると、昭和天皇は晩年の1985~88年、侍従を通じて新年にあたっての感想を公表してきた。