会見する東芝の綱川智社長=27日午後6時2分、東京都港区、杉本康弘撮影
経営再建中の東芝は27日、米国の原発関連会社の資産価値が当初の想定を大幅に下回り、最大数千億円の損失を計上する見通しになったと発表した。東芝は今年度、純損益の黒字を見込んでいたが、赤字に転落するおそれがある。財務内容がさらに悪化すれば、資本増強を含む抜本的な経営の立て直しを求められる。
資産価値が下落したのは、原発施設の建設を手がける米国の会社「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター」(S&W)で、東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)が昨年末に買収した。
その後、事業の中身を再評価したところ、受注したプラントの建設費用が当初見込みを大きく上回るなど、会社の価値が買収時の想定を大幅に下回ることになった。最終的な損失額は数千億円規模に上る可能性があるといい、精査したうえで、来年2月に公表する予定の今年10~12月期決算に反映させるという。
東芝は昨年発覚した不正会計問題の影響で、昨年度決算では過去最大となる4600億円の純損失を計上。財務の健全性を示す自己資本比率は今年9月末時点で7・5%と低く、財務改善が課題だった。再び赤字に陥れば、いっそうの財務悪化は避けられない。
この日、本社で記者会見した東芝の綱川智社長は、資本増強の可能性について「それを含めて検討する」と言及。自らの経営責任については「責任は痛感している」としつつ、「いまは(損失の)処理に集中したい」と述べるにとどめた。(川田俊男)