熊本県警は27日、警察署の鑑識係長を務める警部補が、窃盗などの事件で検挙した容疑者から採取した指紋を証拠品などから採ったように装い、内部向けの虚偽の捜査報告書を作っていたと発表した。県警は虚偽有印公文書作成・同行使などの容疑で捜査している。
県警関係者によると、警部補は熊本北署刑事1課の50代男性。県警監察課によると、警部補は数年前から、容疑者の検挙後、指紋の自動識別システムの読み取り面に残った痕跡を特殊な方法で採取。証拠品や現場に残された物から採ったように偽り報告していた。
発覚したのは9月末ごろで、報告書を受け取った県警本部鑑識課が記述内容と指紋の形が一致しないことに気づいたという。警部補は主に書類送検もしない万引きや暴行などの軽微な事件で虚偽の報告書を作り、「実績を上げるためにやった」と話しているという。
吉田至監察課長は「犯人性に争いのない軽微な事件や、指紋が必要のない事件で行われた」とし、「立証には使われておらず、犯人の捏造(ねつぞう)や冤罪(えんざい)の可能性は現段階で否定できる」と説明した。県警は今後、警部補を処分するほか、複数の部下が関与していたとみて調べる方針。(小原智恵)