家電・技術見本市「CES」で基調講演する日産自動車のカルロス・ゴーン社長=米ネバダ州ラスベガス、新田哲史撮影
日産自動車は5日、米航空宇宙局(NASA)と協力して、運転者が操作しない「完全自動運転車」の事故を、遠隔操作で防ぐ技術を開発すると発表した。米ラスベガスで開催中の家電・技術見本市「CES(セス)」でカルロス・ゴーン社長が明らかにした。ゴーン氏は講演で「自動運転はより安全で、より信頼性の高いものになる」と話した。
飛行機に指示を出す管制塔のように自動運転車の監視役の人を置き、難しい状況判断の際には車に指示を出して制御することなどを想定する。NASAが持つ惑星探査機の遠隔操作技術を応用して開発する。
また日産はIT大手のDeNAとともに、2020年の東京五輪に向けて、完全自動運転車の商用利用の実証実験を進めると発表した。国家戦略特区で実験を重ねる予定だ。
また、ゴーン氏は講演後記者団に、トランプ米次期大統領がトヨタ自動車のメキシコ工場計画を批判していることについて、「我々はどんな政策が行われるか注視するだけだ。今はNAFTA(北米自由貿易協定)のルールに従っているが、ルールが変えられるようなことがあれば、それに合わせていくだけだ」と述べた。
ホンダも同じ展示会で、人工知能(AI)を積む自動運転の試作車を発表した。AIがドライバーの感情を読み取り、会話したり、寄り道を提案したりする。AI技術で先行するソフトバンクと協力して開発した。完全自動運転で注目される、移動中のサービスに重点を置いた技術だ。(ラスベガス=友田雄大、新田哲史)