長崎市議会は12日、議会運営委員会で検討してきた政務活動費の領収書のホームページ(HP)での公開を見送ることを申し合わせた。HPでの公開には議会事務局の負担が増え、職員の人件費がかかることを理由に挙げた。
議運では、ともに最大会派の自民系会派と民進・社民系会派などが、議会事務局の負担が増えて人件費がかかることを理由にHPでの公開に反対。「時代の流れなのは分かるが事務局の負担が増えて税金のムダ遣いになる」として、引き続き協議していくことを申し合わせた。議会事務局は公開のための作業に50時間ほど時間外勤務が発生すると説明。共産や公明の会派は「ネット公開は時代の要請」などとHP公開に賛成意見を述べた。
全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士によると、各地のオンブズマン組織が昨年、公開を求める陳情を各地の議会に一斉に出し、公開見送りを決めたのは長崎市が初という。経費増を理由に挙げたことについて、新海氏は「透明度を高めるため、むしろ経費をかけるべきだ。他の自治体で出来ていることをできないと言うのは、公開したくないという議員の思いがみえみえで、理由にならない」と話した。
領収書のHP公開を巡っては、富山市議会などで政活費の不正使用が続いたことを受け各地で公開の動きが相次ぎ、九州の県庁所在地では鹿児島、大分の市議会が公開を決めた。長崎市議会では政活費の収支報告書はHPで公開し、領収書も議会事務局では閲覧できるが、HPでの公開はしていない。公開を求める市民団体の陳情を受け、昨年末から議運で協議してきた。(山野健太郎)