ワシントンで10日、上院情報委員会の公聴会前に証言する連邦捜査局(FBI)長官のコミー氏=AP
米司法省のホロウィッツ監察官は12日、昨年11月の大統領選で民主党候補だったクリントン前国務長官の私有メール使用をめぐり、連邦捜査局(FBI)のコミー長官の捜査結果の公表方法などについて調査すると発表した。選挙直前のコミー氏の行動がFBIや司法省の内規に違反していた可能性があり、クリントン陣営は「選挙結果に影響を与えた」と主張している。
調査対象となるのは、昨年7月に捜査結果を公表した際や、選挙直前の10月28日と11月6日に、コミー氏が捜査に関する手紙を連邦議会に送った経緯、関連する行動。司法次官補がクリントン陣営に対し、情報を不適切に提供していた可能性などについても調べる。
この問題を巡っては、複数の議員のほか、一般市民からも調査の要望が寄せられていたという。
コミー氏は昨年7月の会見で、クリントン氏の行動が訴追に相当しないとしつつ、機密情報の取り扱いが「極めて不注意だった」と批判。同10月には、新しいメールが見つかった可能性があるとして、捜査再開を示唆する手紙を議会に送付した。しかし実際は新しいメールは確認されず、選挙2日前に改めて捜査を終了させる旨の手紙を送った。
司法省やFBIは継続中の捜査について公表しないのが原則。選挙直前は結果に影響を与えかねない行動を取らないことも内規で決まっており、コミー氏の行動は「これらに違反している」と批判を受けてきた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、監察官がこうした形で調査を公表することは極めて異例という。(ニューヨーク=中井大助)