福島県の花塚山から800ミリ相当の望遠レンズで撮影した富士山(矢印部分、昨年11月26日午前7時9分、菅野和弘さん提供)
「富士山が見える北限」とされる福島県の花塚山(はなづかやま、919メートル)で、地元の登山愛好家ら3人が、約300キロ離れた富士山の頂上部分の撮影に成功した。3人は7年前から撮影に挑んできたという。
3人は同県川俣町の菅野和弘さん(58)と斎藤金男さん(69)、宮城県丸森町の大槻功さん(58)。花塚山は福島県の川俣町と飯舘村の境にある。
地図販売などを手掛ける一般財団法人「日本地図センター」(東京)の田代博常務理事(66)によると、富士山が見える北限は、緯度・経度、障害物などに加え、地球の丸みも考慮してコンピューターで計算すると、花塚山となり、富士山までの直線距離は約308キロだという。
これを知った3人は撮影のために花塚山登山を繰り返し、55回目の登山となった昨年11月26日、山並みからわずかに頭を出した富士山を撮影。肉眼では見えず、800ミリ相当のレンズを使った。写真を田代さんに送り、富士山の位置との一致も確認したという。菅野さんは「地元は原発事故で有名になってしまったが、明るいニュースを届けられてうれしい」と話した。(川原千夏子)