日本銀行の支店長会議に出席する黒田東彦総裁(右から3人目)=16日、東京都中央区の日銀本店
日本銀行は16日、支店長会議を開き、全国各地の景気を調べた「地域経済報告(さくらリポート)」を発表した。全国9地域のうち、個人消費や生産で改善の動きがみられた東北、関東甲信越、東海の3地域の景気判断を10月の前回調査から引き上げた。ただ、今後の景気については、トランプ次期米大統領の就任を控え、世界経済の先行きへの不安が一部に影を落としている。
さくらリポートは日銀が各地域の企業への聞き取りなどから3カ月ごとにまとめている。今回は多くの地域で、低迷が続く個人消費に改善の兆しがみられた。
昨年11月の米大統領選で勝利し、減税やインフラ投資を唱えるトランプ氏への期待感から、市場では円安・株高が急速に進んだ。資産価格が増えたことで富裕層による高額品消費が増加。自動車などの輸出企業が盛んな東海では、消費者心理が改善し、「年末年始セールで手応えを感じる声が多い」(衛藤公洋・名古屋支店長)という。
東北と関東甲信越では生産も上向き、景気判断から「新興国経済の減速に伴う影響がみられる」との表現を削除し、「緩やかな回復基調を続けている」とした。新興国経済の減速懸念が後退し、中国などアジア向けの電子部品や半導体製造装置などの輸出が持ち直した。原油価格の回復を背景に、資源国向けの建設・鉱山機械も好調だった。
他の6地域の景気判断は10月…