会議の冒頭、あいさつをする警察庁の井上剛志交通局長=同庁
75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故を警察庁が分析した結果、人的な要因別では、ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなど「操作の誤り」が最多で、全体の29%を占めることが分かった。75歳未満の運転者の2倍近かった。
高齢運転事故防止へ有識者会議 警察庁、6月までに提言
有識者会議の議論の材料にするため、警察庁が初めて多角的に分析し、明らかにした。対象は、2015年に起きた75歳以上の運転者による死亡事故458件(バイクや車に乗り、過失がより重い第1当事者になった事故)。全体は3585件で、75歳以上は13%を占める。
人的な要因別では、「操作の誤り」が134件(29%)で最も多く、漫然運転や脇見など「前方不注意」が127件(28%)、後方をよく見ないなど「安全不確認」が106件(23%)、相手が譲ってくれると思い込むなど「判断の誤り」が35件(8%)と続いた。操作の誤りを具体的に見ると、ハンドル操作ミスが73件、ブレーキとアクセルの踏み間違いが34件と多かった。このほかブレーキをかけながらのハンドル操作5件、ブレーキの踏み込みが弱い・遅い2件、ギアの入れ間違いやサイドブレーキがうまく引けていないケースもあった。これに対し、75歳未満の運転者(対象3127件)は前方不注意43%、安全不確認26%、操作の誤り15%、判断の誤り12%だった。
発生時間別に見ると、75歳以上は昼間が83%を占めたのに対し、75歳未満は夜間が53%。場所別に見ると自宅のある市町村内だったケースは75歳以上が67%で、75歳未満は46%だった。高速道路での死亡事故は75歳未満の6%に対し、75歳以上は2%だった。警察庁は75歳以上の運転者について「身近な場所で、夜間や高速道路を避けて運転している中で事故を起こす傾向がある」と話す。