卓球の全日本選手権第5日は20日、東京体育館で男女のシングルスの5、6回戦などがあり、8強が出そろった。女子は4連覇を狙う石川佳純(全農)と、前回準優勝で16歳の平野美宇(エリートアカデミー)は8強入りしたものの、リオデジャネイロ五輪団体銅で16歳の伊藤美誠(スターツ)は、5回戦でゲームカウント2―4で敗れた。男子は、史上最多の9度目の優勝を狙う水谷隼(ビーコン・ラボ)は準々決勝に進んだが、リオ五輪団体銀の丹羽孝希(明大)と吉村真晴(名古屋ダイハツ)は、6回戦で敗れた。
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伊藤は、立ち尽くした。第6ゲーム、6―4から7連続失点で5回戦敗退が決まった。「もったいない」。表情は曇った。
主戦場の国際試合で見かけないラバーを使う大学生との初対戦で、不安はあった。第1ゲームを簡単に奪うと、第2ゲームも4―0。だが、心に隙が生まれた。「うまく行きすぎた」。強引な攻めが目立ち、バックハンドの精度も狂って9―11で落とすと、徐々にスイングが力んだ。
リオ五輪で銅メダルを獲得し、今大会はシングルス一本に絞って初優勝を狙った。昨年の準決勝で敗れた平野や、女王の石川を想定した練習を重ねた。だが「上を見すぎたかもしれない」。落とし穴にはまり、不完全燃焼に終わった。