米商務省が27日発表した2016年10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、年率換算で前期(昨年7~9月期)比1・9%増となった。専門家の予想(2・2%前後の増加)を下回った。約2年ぶりの高い伸びとなった前期(3・5%増)からは減速したものの、金融危機後の2%程度の緩やかな成長ペースを保っている。
前期に南米向けの大豆の一時的な急増で大きく伸びた輸出が、反動減もあり3四半期ぶりに減少に転じた。トランプ大統領の当選後に進んだドル高の影響もあるとみられる。主力の個人消費は2・5%増で、伸びが減速。一方、企業による設備投資は伸びが加速した。住宅投資は改善した。
16年通年では1・6%増となり、15年の2・6%増から減速。マイナス成長となった09年以来の低い伸びとなった。
トランプ氏の減税などの景気刺激策で、今後は成長が加速するとみられている。国際通貨基金(IMF)は今月、米国の今年の成長見通しを2・3%、来年を2・5%に上方修正した。ただ、トランプ氏の政策の詳細がみえないうえ、メキシコからの輸入品への課税など保護主義的な政策も訴えており、先行きの不透明感を強めている。
米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年の利上げペースの見通しを「年3回」とみている。利上げが速まってドル高がさらに進めば、トランプ氏が再び「口先介入」などに出るおそれもある。(ワシントン=五十嵐大介)