会見を終え退席する東芝の綱川智社長=27日午後5時22分、東京都港区、越田省吾撮影
東芝は27日、米国で巨額損失を計上する見通しとなった原発事業について、海外の建設工事から撤退するなど、大幅に見直す方針を表明した。同事業で損失が急拡大する事態の再発を避ける狙い。半導体事業の分社化も27日の取締役会で正式決定。2017年3月期の債務超過回避を目指し、入札手続きを急ぐ。
特集:東芝の巨額損失問題
この日記者会見した綱川智社長は、原発事業について「エネルギー(事業)のなかで最注力としたが、変えていく」「海外事業は今後のあり方を見直していく」と強調した。巨額の損失をなかなか把握できなかった反省から、社長直属の事業に変更して管理を強化。今後の受注では、設計や原子炉の製造・納入などに専念し、コストが見通しにくい建設工事から手を引いて「リスク遮断する」(綱川社長)。30年度までに海外で原発45基以上の受注を見込む従来計画も、基数を含めて見直す方針を示した。
半導体事業では、スマートフォンなどに使われる主力のNAND(ナンド)型フラッシュメモリー事業(従業員約9千人)を分社化。3月下旬の臨時株主総会で株主の承認を得て同月末に実施する予定。新会社の株式の一部売却は「20%未満が基本」(綱川社長)としている。
米原発事業での損失額は、現時点での精査では7千億円前後に拡大する見通し。東芝は昨年4~12月期決算を発表する来月14日に、確定した損失額を公表する。半導体事業の分社化で2千億円超の利益を見込むが、債務超過が回避できるかどうかについて、綱川社長は「それ(回避)に向けて資本増強をあらゆる手段でとりたい」などと述べるにとどめ、資本増強策や原発事業見直しの詳細は、来月14日に説明する考えを繰り返し強調した。(川田俊男)