クアラルンプール国際空港の監視カメラが13日にとらえた容疑者とみられる女(左)の画像。地元テレビ局が15日に配信した=AP
北朝鮮の故金正日(キムジョンイル)総書記の長男、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件でマレーシア当局は15日、容疑者の女1人を逮捕した。ただ、マレーシアでは、犯行グループの素性や行動などを巡って情報が入り乱れている。
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正男氏は13日午前、クアラルンプール国際空港内のサービスカウンターで「顔に液体をかけられた」と体調不良を訴えた後、空港に近い政府系の病院に搬送途中に死亡した。
複数のマレーシア紙が警察幹部の話として伝えたところでは、空港の監視カメラには出発ホールにいた正男氏に不審な女2人が近づく様子が映っていた。1人がハンカチで正男氏の顔を10秒ほど覆う間に、もう1人が正男氏の顔にスプレーをふきかけて立ち去ったという。
監視カメラの分析から、実行犯とみられる女2人は現場からタクシーで逃走したことが確認されている。警察は15日までに実行犯を乗せたタクシー運転手から事情を聴き、女らはいずれも「自分たちはベトナム人だ」と話したという。
また、中華系マレーシア紙「東方日報」(電子版)は、警察が15日朝、実行犯とみられる女2人とは別に、共犯の男4人の行方を追っているとも報じた。
逮捕した女の供述によると、男ら4人は、正男氏の襲撃を近くのレストランで見ており、犯行後に女2人とは別に逃走し、空港近くのホテルで合流。しかし、逮捕された女だけが取り残されたという。逃走中の男女5人はベトナム国籍と北朝鮮国籍だという。(クアラルンプール=都留悦史)