大阪府東大阪市で2015年、てんかん発作を起こす恐れがあるのに車を運転し、3人が死傷する事故を起こしたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた大阪府吹田市の元会社員生野誠被告(51)の判決が17日、大阪地裁であった。長瀬敬昭裁判長は「発作の前兆があったのに運転を続けた」と述べ、懲役10年(求刑懲役12年)を言い渡した。
判決によると、生野被告は15年3月5日朝、自宅から東大阪市の勤務先へワゴン車で向かう途中、てんかん発作を起こし、意識障害に陥った。時速約108キロで交差点に進入し、別の車に衝突して運転手に重傷を負わせたほか、歩行者2人をはねて死亡させた。
争点は、生野被告が「発作で正常な運転ができなくなるかもしれない」と認識していたかどうかだった。
判決は、過去に発作の前兆となる胸のむかつきを感じ、車を止めた経験があることに着目。弁護側は「危険を認識しながら運転したのではない」と無罪を主張していたが、判決は「前兆の後に発作が起こり、正常な運転ができなくなる恐れがあることは認識していた」と判断した。
今回の事故では「前兆を感じた後、数十メートルの間に車を停車させることは可能だった」と指摘し、「起きるべくして起こった事故で、危険運転罪の中でも重大なものにあたる」と量刑の理由を述べた。