高見沢俊彦=加藤千絵氏撮影
■ギタリスト 高見沢俊彦(62)
歌わない、走らない、ジャンプしない。静まりかえる客席をあおることもない。
東京で今月あったコンサートは、本来ならあってはならない雰囲気に満ちていた。「完全にアウェー」と言うのも無理はない。演目にビバルディの「四季」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」などが並ぶ。そう、クラシックの演奏会なのだ。
オーケストラ後方の中央、よくティンパニのある位置に高見沢が立つ。約70人の楽団員を挟んで指揮者とソリストが相対するクラシックとロックの真剣勝負。重くて弾きにくそうな光るギターなど5本を持ち込み、自作のヒット曲も含め5曲を悠々と披露した。最後は両手でガッツポーズだ。
デビューして43年、2600本以上のコンサートを積み重ねたロック界の大御所「ジ・アルフィー」のリーダーはいま、新たな扉を開こうとしている。「還暦を超えて、修行僧のように練習しましたよ。高校のとき以来」。この競演に情熱を注ぐ。
クラシックは好きだ。子どもの…