ビバリーヒルズで24日、集会で訴えるマイケル・J・フォックスさん=ロイター
ジョディ・フォスターさんやマイケル・J・フォックスさんら米国の俳優らが24日、米西部のビバリーヒルズでトランプ政権の移民対策に反対する集会を開いた。例年、アカデミー賞授賞式の直前には記念パーティーをするが、今年は移民排斥反対の集会になった。
特集:トランプ米大統領
AP通信などによると、企画したのはタレント事務所「ユナイテッド・タレント・エージェンシー」(UTA)で、事務所前に約1200人が集まった。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで知られるフォックスさんは「移民を追い出すことは人間の尊厳への攻撃だ」と発言。カナダ生まれの自分が米国籍を取るまでに8年間かかった体験を語った。フォスターさんはこれまで政治活動を避けてきたが、黙っていられなくなったといい、「歴史で唯一の時。闘う時だ」などと訴えた。
また、イスラム教徒の多い7カ国の国民の入国を一時禁止した米大統領令への抗議で、アカデミー賞授賞式への欠席を表明したイラン人映画監督のアスガー・ファルハディさんもビデオで参加。「政治家たちが宗教や国籍などで憎しみをかき立てていることに、映画界の人々が反対しているのは元気づけられる」などと述べた。
UTAは、25万ドル(約2800万円)を人権団体「米自由人権協会(ACLU)」などに寄付すると表明している。(ロサンゼルス=平山亜理)
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米トランプ政権が、心と体の性別が一致しないトランスジェンダーの生徒らを保護するオバマ前政権時代の通達を撤回したことに抗議する緊急集会が23日、ニューヨークのグリニッチビレッジで開かれた。大勢が集まり、苦悩している若者を守ろうと声を上げた。
オバマ前政権は昨年、本人が望むトイレや更衣室の使用を認めなければ差別になるとし、公立学校に「心の性に応じて使えるようにすべきだ」と求める通達を出したが、トランプ政権が22日に取り消した。性目的でのトイレなどへの侵入の誘発を警戒し、「連邦政府による州への過剰な介入」などとして通達に反対してきた共和党保守派の意向が影響しているとみられる。
抗議集会の集合場所は、1969年に警察が家宅捜査に入り、居合わせた性的少数者と衝突したバー「ストーンウォール・イン」前の路上。集会では、マイクを握った先導者の「トランスジェンダーの子どもたち(の権利)が攻撃されている、さあどうする?」との掛け声に、参加者が「立ち上がって抵抗せよ!」と連呼した。
声を張り上げていた高校生ジョイス・ケーガンさん(17)にはトランスジェンダーの友人が4人いて、自己の性別認識(心の性)に従って学校生活を送っている。「それが当然と思っていたが、政府が異なるメッセージを出した。トイレに違和感なく入れなければ学業を続けられなくなる。反対の声をあげないと手遅れになる」と語った。
ジュリア・シュレスさん(16)には、寛容を説く大統領(オバマ氏)が当たり前だったが、昨年の大統領選を機にイスラム教徒やヒスパニックら少数派への憎悪が公然と語られるようになったと感じている。「たった1回の選挙で社会の雰囲気がこんなに変わったことが怖い」
高校教師のローラ・キャンストレイシーさん(50)は、苦悩の末に命を絶つ若者もいるなか、トランプ政権の動向におびえている生徒が大勢いるのは間違いないと言う。「自身の性に目覚め始めた中高生に『あなたたちを守る』との姿勢を示すことが重要だ。歴史の後退は小さく始まる。トランプ政権が次に何をするのか心配でならない」と話した。(ニューヨーク=金成隆一)