相次ぐ処遇改善策
厚生労働省は4月から、民間の児童養護施設などで働く職員の給与を平均で2%(月7千円程度)引き上げる。職責に応じて、さらに増額する。政府や自治体が負担している施設運営費に上乗せして対応。保育施設で働く保育士や介護施設の職員とともに処遇を改善させることで、人材不足の解消をめざす。
児童養護施設は児童福祉法に基づき、虐待や親の病気などを理由に親元で暮らせない子どもらを受け入れている。2015年10月時点では、全国の602カ所で約2万8千人の子どもが暮らし、約1万7千人の児童指導員ら職員が対応する。ただ、近年は虐待の増加などで、慢性的に人手が足りない。
処遇改善策は平均2%の給与増に加え、夜勤や泊まり勤務などを担う職員に月5千円、一定の研修を受けた中堅専門職員に月5千円、小規模施設の指導員に月1万5千円、複数の小規模施設を監督する職員に月3万5千円を加算。マネジメントの研修を受けた主任児童指導員らには、さらに月5千円を上乗せする。
乳児院や児童自立支援施設、母子生活支援施設などの職員計1万人以上の給与も上げる。こうした費用として、新年度予算案に計41億円を計上している。(伊藤舞虹)