ブラジルのテメル大統領。2月8日撮影=AFP時事
「女性ほどスーパーマーケットの値段の変化に敏感な人たちはいない」――。国際女性デーの8日、ブラジルのテメル大統領がそんな言葉で女性を「称賛」し、ひんしゅくを買った。テメル氏は女性の社会的役割などをめぐり、他にも失言を連発。期せずして価値観が垣間見えた発言だけに、地元メディアがこぞって報じた。
Dear Girls
テメル氏は、大統領官邸で開かれた国際女性デーのイベントで演説。女性の社会進出に触れた中で「家計を通して経済の変動に敏感に気づけるのは女性が一番」などとたたえた。景気回復で見込まれる雇用増について「女性は家事をしながら、他の仕事をする選択肢が広がる」とも語った。
テメル氏は、3人目の妻で43歳年下のマルセラさんとイベントに出席。自らの経験から得た確信だと前置きした上で、「子がきちんと育つのは家庭の教育がうまくいっているから。それはもちろん男性ではなく女性の仕事だ」と強調した。
著名な憲法学者でもあるテメル氏は昨年、女性初の大統領だったルセフ前大統領の罷免(ひめん)を副大統領の立場から支持し、大統領に昇格。最初の暫定政権では、閣僚に女性や黒人が一人もいないとして批判された。
世界経済フォーラムの男女平等ランキングでブラジルは79位。男女間の賃金格差や女性に対する暴力などが問題化している。女性の人権擁護を担う法務省の担当局はテメル氏の発言について「あらゆる分野での女性の重要性を再認識したもの」と弁解した。(サンパウロ=田村剛)