学校法人「森友学園」の籠池泰典氏が、国有地の定期借地契約をめぐって安倍晋三首相の夫人昭恵氏に協力を求めたと証言したことをめぐり、菅義偉官房長官は23日夕の記者会見で、「事実関係は籠池氏との証言とは異なる」と述べ、昭恵氏の関与を否定した。夫人付き職員へ書面で要望があり、職員が制度面での説明を籠池氏にファクスで伝えた、と説明した。
籠池氏はこの日の参議院での証人喚問で「国有地のことについて、1回電話したと記憶している」と述べ、当時、新設予定の小学校の名誉校長だった昭恵氏に、定期借地契約の延長について相談の電話をかけた。昭恵氏は電話に出なかったが、その後、夫人付の職員から、「希望に添えない」という内容のファクスが届いたと証言した。
これに対し、菅氏は会見の冒頭で、籠池氏から届いた封書の宛名の写しを記者団に配布。宛名が夫人付職員だったことをふまえ、「夫人付の方に陳情書がきて、それについて(職員が)財務省に問い合わせをした」と説明。要望は職員に対するもので、昭恵夫人への依頼ではなかったとの認識を示した。
また菅氏は職員が籠池氏に送ったファクスの写しも配り、「(籠池氏の)希望に添うことができないと明快に断っている」と強調した。写しに「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」との記述があることについては、「(職員が昭恵氏に)事前に報告するのが自然だ」と説明。「(昭恵氏は)中身にはまったく関与していない」と強調した。財務省が昭恵氏の意向を忖度(そんたく)した可能性については、「忖度以前のゼロ回答だった」と反論した。