これまでの発言に様々な食い違いが指摘される中、虚偽の発言をすれば刑事罰に問われる証人喚問で何が語られるか。学校法人森友学園の籠池泰典氏への注目の証人喚問が、２３日午前１０時から参院予算委員会で始まった。

籠池氏の証人喚問、きょうの動き

ただし、籠池氏の個人問題のように開かれた今回の証人喚問では、一連の問題で何があったのかを解明するのは難しいだろう。国有地売買交渉時に財務省理財局長だった迫田英典国税庁長官が参考人招致される方向だが、財務省や大阪府の当事者をはじめ、安倍晋三首相の妻昭恵氏にも語ってもらう機会を設けるべきだ。

証人喚問の注目点の一つは、昭恵氏から受け取ったとされる１００万円の寄付についてどう語るかだった。籠池氏は冒頭に与えられた１０分間で昭恵氏との関係に言及。寄付金授受の場面を再現し、「封筒に入った１００万円をくださいました」と明言した。一方、「ふたりきりだった」とされる相手方の昭恵氏は、これまで自身の口で何も語っていない。

籠池氏は冒頭の証言で、土地取引や小学校の認可について、「私だけの尻尾切りで罪をかぶせるのではなくて、ほかの関係の方々を国会に呼んで真相究明を進めていただきたい」と要求した。国有地の大幅な値下げについては「びっくりした」とも語った。

続く山本一太・参院予算委員長には、国有地の取得や小学校開設の認可に「政治的な関与は」と問われ、「あったのだろうと認識しております」と答えた。誰がどのように関与したのかについては籠池氏自身が分からないというが、複数の議員の名前も証言した。

午前中の喚問で、与党は籠池氏の信用性を問う姿勢を強めていた。野党も、確実な根拠が示されない証言の追及には慎重だった。一連の問題のうち、籠池氏だけに説明責任が求められるのは、金額の違う３通りの契約書の作成経緯だ。しかし籠池氏は「刑事訴追の可能性がある」として証言を拒否した。

証人喚問は、午後２時５０分から約２時間の予定で衆院予算委で開かれる。尋問に立つ与野党５議員には、籠池氏が知り得る過去の経緯を可能な限り詳しく再現してもらい、その事実関係を裏付けるための証言を引き出すことが求められる。（木原貴之）