小笠原諸島を巣立った後、成長して戻ってきたことが確認されたアホウドリ(右、東京都提供)
国の特別天然記念物アホウドリを保護するため新たにつくられた繁殖地、小笠原諸島(東京都)を3年前に巣立った1羽が、大きく成長して再び戻ってきた。環境省などが24日発表した。小笠原で生まれたアホウドリの帰還が確認されたのは初めてで、保護の取り組みが一歩前進した。
2014年5月に小笠原諸島の媒島(なこうどじま)で巣立ったアホウドリのメスが、媒島の北にある聟島(むこじま)にいるのを今月1日に確認した。年齢は3歳2カ月で、羽を広げると約2メートルの大きさという。日本近海からアラスカ沖などに移動して成長し、生まれ故郷に戻ったとみられる。
伊豆諸島の鳥島にある繁殖地は、火山の噴火で全滅するおそれがあることから、国や都などが08~12年にヒナ70羽を約350キロ離れた小笠原諸島に移して育てた。その後、4羽のヒナの誕生が確認されていた。アホウドリは巣立ち後、3~4年で元の場所に戻り、繁殖する性質がある。(小堀龍之)