福岡大大濠―滋賀学園 十五回裏のマウンドに立つ福岡大大濠の投手三浦=細川卓撮影
勝利なきマウンドへ福岡大大濠の三浦が走る。延長十五回。「再試合がある。そこにつながる終わり方をしなければ」。十三回から連続して三塁に走者を背負ったが、最後は小飛球を自らつかんでひとまず試合の幕を引いた。あいさつ後、握手を交わす者はいない。戦いは続く。
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196球を投げ切った。打者の懐を直球で、これでもかと攻めた。安定した下半身主導のフォームで、驚くべきは制球ミスがほとんどないこと。この直球のおかげでスライダーなどの変化球も生きた。警戒していた1番真藤からは5三振を奪った。バックも無失策でもり立てた。
八、九回から右手の握力の低下や下半身の疲労を感じた、という。八木監督も毎回、体調を確認していた。それでも「相手がしっかり投げていたのでスイッチを入れ直せた」。言葉通りなら三浦の粘投は滋賀学園の2投手が引き出した。
滋賀学園は東海大市原望洋戦で棚原が14回、192球を投げ抜いた。この日の朝、メンバー表には棚原の名前が再び書き込まれていたが、選手間の話し合いを経て、捕手の後藤が棚原の温存を山口監督に勧めた。
公式戦初先発となった宮城が八回途中までを1失点に抑える。「ここまで投げられるとは思っていなかった」。マウンドを継いだ棚原は1回戦同様にスライダーが切れた。「三浦君が良かったので1点取られたら負けだと思った」。ここでも好投が好投を呼んだ。
昨秋の公式戦は13試合すべてに完投した三浦。再試合での登板を問われると間髪を入れずに「もちろんです」。投手陣が豊富な滋賀学園に対し、第3試合も引き分け、1日の休養日ができたことがせめてもの救いだ。(堀川貴弘)