相模原市で起きた障害者殺傷事件を受けた再発防止策を盛り込んだ精神保健福祉法改正案が7日、参院本会議で審議入りした。同法に基づく措置入院を解除された患者に支援を継続するよう自治体に義務づけるのが柱で、政府は今国会での成立を目指す。
本会議で塩崎恭久厚生労働相は「措置入院から退院した患者に対して継続的な支援を確実に行えるようにする」と説明し、理解を求めた。これに対し、民進党の川田龍平氏は一定の評価をしつつ「犯罪防止が法改正の趣旨の一部というのは障害者の差別偏見につながり、筋違いだ」と述べた。
法案では、保健所がある自治体に精神障害者支援地域協議会の設置も義務づけている。協議会では、措置入院している患者本人や家族を交えた調整会議(個別ケース検討会議)を開き、退院後の支援計画を作る。
警察や病院、福祉事業所などが参加する代表者会議も開くことを義務づける。患者の薬物使用が分かった場合の情報共有や、固い信念で犯罪を企てる人の場合の対応方法を話し合う。措置入院や退院を判断する精神保健指定医は、資格の不正取得問題を受けて更新時の要件を厳格化する。
成立すれば、1年以内に施行される。(井上充昌)