2大会連続WBCで4強に入ったオランダ代表。バレンティン(ヤクルト)は4番で活躍
米国の大会初制覇で幕を閉じた野球の国・地域別対抗戦、第4回WBC。2大会連続4強のオランダ代表も確かな足跡を残した。彼らの活躍は、オリンピックの野球・ソフトボール存続にも、影響を及ぼすかもしれない。
3月20日、準決勝・プエルトリコ戦。3―3の延長十一回にサヨナラ犠飛を許し、オレンジ軍団のWBCは終わった。だが、今大会は韓国やキューバを倒して、日本にも善戦。前回大会の4強入りが、フロックではないことを証明した。
世界ランキング9位のチームは、本土の選手とオランダ領アルバやキュラソーなどカリブ海出身選手の混成集団。野球・ソフトボール人口は約2万人。欧州選手権20度以上の優勝を誇るが、サッカーのような人気や国際的な認知度はない。それでも今回の活躍は本土でも話題になり、報道の扱いも増した。オランダ代表のミューレン監督も「野球への国民の関心が変わった。代表にあこがれ、野球をする子どもたちも増えている」と実感を口にする。
「欧州全体への競技普及にもつながる」と話すのは、オランダ野球・ソフトボール連盟のボーカイク本部長だ。欧州野球連盟には現在39カ国が加盟。オランダとイタリアの2強時代が長く続いたが、スペイン、フランス、チェコ、ドイツが成長し「6強」になりつつあるという。大会の結果は、上を目指す他国のモチベーションにもなる。
出場資格さえ満たせば国・地域の出身者でなくても代表になれるWBCとルールは異なるが、同本部長は、五輪競技の野球・ソフトボール存続への追い風になる可能性も指摘する。両競技は2020年の東京大会で復活するが、次大会以降は未定だ。「オリンピックムーブメントに、ヨーロッパの関わりはとても重要」。野球が欧州に根づいている事実を発信できた価値を説く。24年大会の開催地が、パリか、野球が盛んな米ロサンゼルスかで風向きも変わるが「フランスの野球・ソフトボール連盟も力を入れている。パリ近郊で新球場建設も検討しているとも聞いた」と期待を寄せる。(遠田寛生)