南阿蘇鉄道の立野―長陽間では、地震による土砂崩れで流された線路の復旧工事が進んでいた=12日午前10時28分、熊本県南阿蘇村、小宮路勝撮影
熊本地震から14日で1年。今も熊本県の南阿蘇村と高森町を結ぶ南阿蘇鉄道は全線復旧のめどが立っていない。最も被害の大きかった立野駅(南阿蘇村)付近では、崩れた土砂が線路を谷底に押し流し、切断されたレールが無残な姿をさらしていた。
駅から1キロほど先。枕木置き場があった付近は、地震による土砂崩れが250メートルにわたり線路を谷底に押し流した。残ったレールの一部はさび、土砂から無残な姿を見せていた。
その先の犀角(さいかく)山トンネル(全長125メートル)は下の地層がずれ、壁に無数のひび割れがある。トンネルを抜けた先の第一白川橋梁(きょうりょう、同166メートル)は一見無事そうだが、よく見ると線路や橋桁がゆがみ、鋼材が切れているところもある。
それらは地震後、手つかずのままだ。一方で周辺の国のダム工事は着々と進み、工事用道路のためにトンネルの中の線路は撤去され、枕木は砂利で埋められていた。立野駅周辺の線路は何度かボランティアが草取りをしたが、今は雑草に覆われている。
昨年7月末に被害の少なかった中松(南阿蘇村)―高森間の7・1キロが再開したが、立野―中松間の10・6キロは不通のままだ。
復旧のめどがたたないのは、年…