「ろくでなし子」のペンネームで知られる漫画家五十嵐恵被告(45)が制作した女性器を模した作品などが、わいせつ物に当たるかどうかなどが争われた刑事裁判の控訴審判決が13日、東京高裁であった。秋吉淳一郎裁判長(大熊一之裁判長代読)は、一部無罪とした一審・東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
わいせつか芸術か 「ろくでなし子」控訴審、即日結審
五十嵐被告は2014年、女性器をかたどった立体作品を都内のアダルトショップ店内に並べたとするわいせつ物陳列罪▽スキャンした女性器の3Dデータをメールで配布したとするわいせつ電磁的記録等送信頒布(はんぷ)罪――などで起訴された。
昨年5月の一審判決はこのうち、作品を店内に並べた行為について「(作品は)ただちに実際の女性器を連想させない」と判断し、無罪とした。一方で、3Dデータについては、「女性器の形状を忠実に再現したもので、性的刺激の程度が強い」としてわいせつ物にあたると結論づけ、罰金40万円の有罪判決を言い渡した。
検察側、弁護側の双方が控訴。弁護側は3Dデータについて、「精密に再現したとは言いがたい粗雑なもの」と主張。一審判決は芸術活動を萎縮させる、として全面無罪を訴えていた。(志村英司)