厚生労働省は13日、今夏に策定する、今年度からの次期がん対策推進基本計画の概要を公表した。体の痛みや精神的な苦痛を和らげる緩和ケアをどこでも受けられるようにし、「痛みがある」とする患者を1割以下にする目標を初めて設定した。
この日の同省の協議会で示された。痛みについては、2012年度から5年間の第2期の基本計画の中間評価が「身体的、精神的な苦痛が十分に軽減されていない患者が3~4割」と指摘していた。今後、国や医療機関が、医師ら向けの緩和ケア研修を充実させていく。
計画の柱は「予防」「医療の充実」「がんとの共生」。精密検査の受診率を9割とする目標を初めて設定した。ほかに個人の遺伝情報を基にした治療や予防をする「ゲノム医療」の推進や、患者の就労支援などを重点的に取り組むべき分野として挙げた。
07年度にできた1期の基本計画は、10年間で75歳未満のがん死亡率を20%減らすことを目標に掲げたが、減少率は15・6%にとどまった。次期計画では、死亡率の目標設定をせず、検診受診率や医療体制整備など個別に目標値を設定する方針という。(黒田壮吉)