観客のすぐそばで場外乱闘を繰り広げる選手たち=名古屋市中区
倒れても倒れても、立ち上がるレスラーたちの熱き戦い――。名古屋の鉄道高架下に、プロレスのリングを常設したバーがある。著名な団体がない名古屋で選手を育てて、プロレスの魅力を伝えようと、オーナーが闘魂を燃やしている。
JR鶴舞駅近くの名古屋市中区千代田3丁目。JR中央線の高架下にある「スポルティーバアリーナ」が、そのバーだ。普段は週に1度の試合を見に、ファンが集まる。
ある水曜の夜。カレーとドリンク、試合観戦が2千円で楽しめる「水曜カレープロレス」が開かれた。スーツ姿の男性会社員、カップルや若い女性グループなど、約30人いた客は様々だ。腰掛けるパイプいすの多くは、選手に投げつけられて、ゆがんでいる。
大音量の音楽とともに、地元の名物レスラー・影山道雄が姿を現した。金髪オールバックの頭を揺らし、口に含んだペットボトルの水を客に吹きかけながら客席を練り歩くと、悲鳴や歓声が渦巻いた。
筋肉隆々のレスラーたちによる、迫力満点の投げ技、チョップの応酬、客席での場外乱闘――。観客のボルテージも上がる。
2試合が終わり、大阪から遠征した「太陽塔仮面」が肩で息をしながらマイクを握った。
「僕たちは、熱い思いを持って戦っています。皆さんの喜ぶ顔が見たくて、やっています。心から言わせてください。ありがとうございました!」
ファン歴5年の会社員奥田真也…