9日のNHK杯に出場した矢沢一輝。青森県西目屋村の職員として東京五輪を目指す
昨年のリオデジャネイロ五輪で「お坊さん選手」として注目されたカヌースラローム男子の矢沢一輝(28)が、善光寺大勧進(長野市)を離れ、青森県西目屋(にしめや)村の臨時職員として新たな競技人生の一歩を踏み出した。目標は2020年東京五輪だ。
富山市で9日に開かれたNHK杯(日本選手権)の男子カヤックシングル。優勝候補の矢沢はゲートの不通過を重ねて準決勝で敗退した。「もっと確実に艇をコントロールしなければならない」と課題を挙げると、そのまま車を運転し、新天地の西目屋村に向かった。
長野県出身の矢沢は2012年ロンドン五輪の後、競技生活をサポートしてくれた長野県カヌー協会の会長が僧侶だった縁で、仏門に。翌年夏、比叡山で修行した後に善光寺大勧進に入った。1日5回の祈禱(きとう)をしながらカヌーの練習を積み、自身3度目の五輪となった昨年のリオ五輪に挑んだ。だが、結果は11位。「悔しい結果。もう一度、五輪の舞台に立ちたい」という思いが募った。
そんな時、カヌーが盛んな西目…