新たに整備された迂回(うかい)路を登る先導の行者たち=鳥取県三朝町
鳥取県中部で昨年10月に起きた地震で参拝道に亀裂が入り、入山禁止が続いていた三仏寺(同県三朝町)の奥の院・投入堂(なげいれどう、国宝)で、迂回(うかい)路が完成した。18日に開山法要が営まれ、観光客ら約50人が半年ぶりの参拝登山を楽しんだ。迂回路はインターネット上のクラウドファンディング(CF)で整備資金を募った。
断崖絶壁の国宝を救え 地震で参拝道に亀裂、寄付募る
投入堂は三徳山(標高約900メートル)の中腹の断崖絶壁に立つ。昨秋の地震で三朝町は震度5強を観測。参拝道(約1キロ)では、中間付近の「クサリ坂」の岩に幅約10センチ、長さ約15メートルの亀裂が入り、入山禁止になっていた。このため、参拝者が激減。入山料の減収などもあり、寺の維持が危ぶまれた。
寺は、迂回路整備に必要な200万円を目標に3月17日からCFで資金を募り、今月18日までの約1カ月で4倍以上の約880万円が集まった。もとの参拝道のやや西側に約40メートル分の迂回路を整備。残額は文化庁や県と協議して岩の修復に充てるという。
この日は法要後に米田良中住職(72)が入山口に張り渡した縄を刀で断ち、参拝者らが行者の先導で新たな迂回路の鎖をつたって投入堂まで登り切った。
夫婦で訪れた東京都東村山市の飯田早苗さん(63)は「怖々だったが感動した。半年で再開できたのはみんな待っていたからでしょう」と話した。(古源盛一)