患者選定ミスについて調査結果を報告する第三者チーム委員長の江川裕人・日本移植学会理事長(左)と、日本臓器移植ネットワークの門田守人理事長=29日、東京・霞が関の厚生労働省
心臓移植で患者選定ミスがあった問題で、日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)の第三者調査チームは29日、初歩的なプログラムミスを見落とした移植ネットとシステム開発会社の「能力不足」が原因とする報告書を発表した。本来提供されるはずだったが、移植を受けられなかった患者は当初発表の2人でなく3人だったと指摘。選定ミスにはならなかったが誤ったデータを用いた選定がほかにも7例であった。
報告書によると、移植ネットが昨年10月に移植患者を選ぶ新しい検索システムを導入した際、開発会社が一部の患者の待機日数を長く算出するプログラムミスをしていた。移植ネット側の理解不足で開発期間が長期化し、旧方式と並行して選定患者を確認するテスト期間が短くなり、このミスを発見できなかった。問題が発覚した今年1月までの脳死心臓移植20例のうち10例で正しくない待機日数が計算され、うち3例が患者選定ミスにつながったという。
報告書は再発防止に向け、情報システムに詳しい責任者を置くことや、患者の順位付けだけをする部門を独立させることなどを提言した。
移植ネットの門田守人理事長は記者会見で「ご迷惑をおかけして申し訳ない。再発予防に取り組む」と謝罪した。システムを開発したNECネクサソリューションズ(東京)は「ミスを起こし深くおわび申し上げます」とコメントした。(竹野内崇宏)