原子力規制委員会の田中俊一委員長は26日の定例会見で、高速実験炉「常陽」(茨城県)の運転再開を目指す原子力研究開発機構の安全に対する姿勢を問題視し、運転再開を「許すわけにはいかない」と厳しく批判した。
原子力機構は熱出力が14万キロワットの常陽を10万キロワットで運転すると規制委に申請。14万キロワットの場合、半径30キロ圏の自治体が避難計画作りを求められるが、10万キロワットだと5キロ圏に狭まるとし、25日の新規制基準に基づく審査では、自治体への説明を減らすことで「運転再開を早められる」と説明した。規制委は審査を保留した。
これに対し、田中委員長は26日の会見で、原子力機構の申請は「ナナハン(大型バイク)を30キロ以下で運転するから、原付きバイクの免許でいいと言っているようなもの」と批判。「福島第一原発事故を反省しているのか。説明に手間取るという言い方をしており、地元に対する意識がおかしい。審査の保留は当然だ」などと原子力機構の姿勢を問題視した。
政府は昨年、原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉を決定する一方、常陽を研究の柱として高速炉開発を継続する方針を示している。(石塚広志)