岡田佳久さんが客の要望に応じてカスタムした「フェラーリ風」のモンキー。赤く塗装し、タンクにはフェラーリのバッジも。200万円以上かかっているという=愛知県豊橋市賀茂町
モンキーってご存じですか? ホンダの原付きバイク(排気量50cc)で、今年は発売50周年ですが、8月に生産が終了します。小柄で手を加えやすい独特の構造に魅せられた熱狂的な愛好家が各地にいます。一般にはあまり知られていない「モンキー愛」の世界を紹介します。
ホンダ「モンキー」、8月生産終了 排ガス規制強化受け
初代「モンキー」の雰囲気再現 ホンダが50周年モデル
■子どもの代まで…
「増えていくモンキーは子どもたちにいずれ引き継ぎ、守るよう言ってあります。妻からは『アホだね』と言われていますが」
愛知県豊田市の会社員柴田信明さん(48)の車庫は、初代1967年式をはじめ、十数台のモンキーが並ぶ。いずれも自ら塗装したり、お気に入りのカウルやサイドカバーをつけたりと独自にカスタム(改造)している。
20歳のころ、廃車状態だった74年式を2カ月かけて乗れるようにしたのが、のめりこむきっかけ。「小さくて構造が簡単だから自分好みに仕立てられる」。車庫には、ハンドルやタンク、エンジンといった無数の部品に加え、旋盤など工作機械がある。「モンキーの生産が終わることはとても残念だが、人気がなくなることはない」
7年前にはまったという同県豊川市の自営業竹内紀昭さん(39)は「特に古いモンキーは壊れやすい分、手がかかりますが、今の時代、それが魅力」。今は7台目となる71年式のモンキーのカスタムに取り組んでいる。特製のエンジンは100万円。3年がかりで完成させる予定だ。
豊川市の自営業鳥山昇史さん(60)は中型のオートバイなど4台持っているが、近くへ出かける時はモンキーを使う。廃車状態からよみがえらせ、前かごもつけた71年式。「乗り心地は良くない。でも自分が作ったモンキーだから味があるのです」と話す。
ホンダ(東京)の広報によると、モンキーの累計の生産台数は約66万台(昨年12月末時)。2月に50周年記念モデル(消費税込み35万2080円)を発売すると、1800台の販売枠はすぐに予約で埋まった。
ただモンキーを含め、原付き全体の販売台数は80年当時の約1割に落ち込んでいる。むしろ愛好家たちの関心は古いモデルにあるようだ。
同県豊橋市賀茂町でカフェを兼ねたバイクショップを経営する岡田佳久さん(39)は、7年前、店をモンキー専門に「特化」させた。扱うのは主に初代67年から74年式。価格は15万~50万円が中心で、初代だと60万~80万円の値がつく。売り上げの半分以上はインターネットで舞い込む全国からの注文が占める。客の要望に応じてカスタムも引き受ける。1台に100万円もかける人は珍しくなく、中には200万円以上かけた人もいたという。
客は30~40代が多く、最高…