伊吹文明・元衆院議長
政治家は発言の際、「六つの『た』」に注意せよ――。失言で更迭された今村雅弘・前復興相が所属する自民党二階派の伊吹文明・元衆院議長が27日、同派の会合でこんな考え方を披露した。派閥領袖(りょうしゅう)の二階俊博幹事長も報道批判発言で反発を受けている中、政界きっての「ご意見番」が戒めた格好だ。
今村氏は会合に欠席し、二階氏は出席した。
伊吹氏は、立場▽正しいこと▽多人数(たにんずう)▽旅先▽他人の批判▽たとえ話――の六つの「た」について気をつけるよう呼びかけた。伊吹氏は人によって正しさが異なることや、地方での応援演説で笑いをとりたくなることなどを指摘。「この六つをひと呼吸入れて考えれば、そうおかしなことは起こらない」と語った。
二階氏は「色んなことはあったが、気を引き締めて次なる戦いにチャレンジする」と述べるにとどめた。
一方、麻生派の麻生太郎財務相は派閥会合で、今村氏の発言を「ふざけている」とバッサリ。「(今村氏の東北を)『あっち』という一言が、東北の怒りをかう言葉だ」と批判した。石破派では石破茂・前地方創生相が二階氏の発言を念頭に、「報道に対して色んな批判をしてみても、自分に跳ね返ってくるだけ。民主主義の否定にもなりかねない」と疑問を呈した。(山岸一生)