フェンシングのフルーレ男子の西藤俊哉=東京都北区の国立スポーツ科学センター、照屋健撮影
7月にドイツであったフェンシングの世界選手権男子フルーレ個人で、2人の新星が世界を驚かせた。20歳で銀メダルを獲得した西藤(さいとう)俊哉と19歳で銅メダルの敷根崇裕(しきねたかひろ)。個人種目でのメダル獲得は、2015年に優勝した太田雄貴以来の快挙だった。28日にあと1000日となる2020年東京五輪に向け、ともに法大2年の2人はこう口を揃える。
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「東京での金メダルが、夢から目標に変わってきた」
2人とも父親が指導者のフェンシング一家で生まれ育った。長野県箕輪町出身の西藤は戦隊モノに憧れて5歳で、大分市出身の敷根は1歳上の兄と遊ぶうちに6歳から剣を握った。
小中高と全国大会で優勝し、「天才」と言われた敷根は「誰にも真似ができない」と言われる独特の剣さばきが武器。寡黙だが、常に相手の意表を突く、いたずら好き。「人の試合に興味はない」と、ときにコーチの助言も聞き流し、自身のスタイルを極めてきた。
西藤は「常に崇裕たちの背中を追ってきた」。中学でエリートアカデミーに入学し、暇さえあればフェンシングの動画を見た。同世代になかなか勝てない中、休みの日でも1人で練習。青木雄介コーチは「とにかくまじめで情熱的。世界の舞台でデカいことをやってのけるのが俊哉」と話す。
そんな2人の共通点は、小学生から五輪で金メダルを獲ると宣言していたことだ。小学3年のフェンシング教室で対戦した太田に憧れた西藤と、北京五輪銀メダルの太田を見て「僕が金をとるしかない」と言った敷根。世界の表彰台を経験した2人は今、その目標に着実に近づいている。(照屋健)