家庭の照明が急に明るくなったり暗くなったりする「電圧フリッカ」という現象が九州で増えている。太陽光発電が多く、電気の使用量が少ない晴天の昼間に起こるとみられ、この大型連休中にも広い範囲で発生する可能性があるという。九州電力によると停電や感電の危険はないが、対策を急いでいる。
今年の元日の昼過ぎ、鹿児島・宮崎両県を中心に、「照明がちらついている」との問い合わせが九電に相次いだ。同様の問い合わせが九州全県で計295件あった。2月19日にも、九州南部を中心に168件の問い合わせがあった。
普段は一定の電圧が、繰り返し変化することで発生する。照明のちらつきが約2時間続く。パソコンやテレビなど他の家電への影響は確認されていない。
これまでは医療機器の周辺など狭い範囲で発生していたが、太陽光発電設備の普及により、広い範囲で見られるようになった。太陽光パネルと送電線の間には、故障の検知などのための装置があり、「信号」を送電線内に送っている。予想を超えて太陽光発電が普及したため、この信号が電圧を変化させる原因になっていた。九電は3月ごろから装置の設定を変え、信号を弱めるよう事業者に依頼するなどしている。
太陽光設備によるものとみられる電圧フリッカは全国でも散発的に起きているが、九州のような広域での発生は珍しい。九州は日照時間が長く雪も少ないことから、太陽光発電設備の普及が大幅に進んだ。昨年5月のピーク時には電力需要の約7割を再生可能エネルギーがまかなった。その分電圧フリッカ発生の可能性も高まった形だ。九州電力は発生時はホームページで周知をするほか、「ちらつきが気になる場合は照明を切るか、各営業所への相談を」と呼びかけている。(高橋尚之)