「普段は薄めのブラウンや濃いめのブラウンを、男性は使うことが多いです。かわいらしい子犬系を狙うなら、淡いピンクでもいいでしょう」。カメラの前で、ショート動画を発信するコスメブロガーの先先さんが、男性にアイシャドーの使い方を指導する様子だ。先先さんは今年30歳で、ファンデーションを塗るところでは、まずファンデーションブラシとスポンジにリキッドファンデを取り、あごひげの部分を避けて顔の上にむらなく塗っていった。中新経緯が伝えた。
長年にわたり、ネットに伝わる言葉に、「男性の消費能力は『(ペットの)犬』以下」というのがある。しかし今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)のプレセールでは、男性用化粧品の売り上げが激増し、人々はコスメ分野で「彼経済」の誕生発展が期待できることに気づいた。
「男性も自分を喜ばせてくれる人のために化粧をする」時代が来た?
中国中央テレビのニュース番組の報道によると、ある報告書では、2016年には男性ユーザーのうち、「絶対に化粧品を使わない」とした人は31%に上ったが、19年のこの割合は3分の2減った。男性用化粧品市場は大きなパイで、関連機関の予測では、23年に世界の男性用化粧品市場の規模は5400億元(1元は約15.9円)に達するという。
男性用化粧品の商機の匂いを嗅ぎ取った大手化粧品ブランドも市場に進出し展開を進めている。エスティローダーは男性用スキンケアブランドのラボシリーズ、ロレアルパリ傘下のビオテルムは男性用BBクリームを発売した。ディオールやMacなど昔からあるブランドも広告宣伝を通じて、「当社ブランドの化粧品は女性のお客様だけのものではない」という理念を男性に伝えている。
だが、巨大な女性用化粧品市場と比較すれば、男性用化粧品市場はまだスタートしたばかりだ。ブランドのインキュベーションプラットフォーム「ディア・マッド・パートナー」の創業者の劉禹■(丹へんに彡)さんは、「男性の社会的地位と歴史的要因により、男性は一般的に自分をよく美しく飾り立てようという意識がなく、化粧は女性がするものだと思い込んでおり、中には男性の化粧をけなす男性もいる。男性化粧品業界はゼロの状態から立ち上がったばかりだ」と述べた。
ロレアルパリ広報部の責任者の陳潔氏も、「ロレアルパリの男性用化粧品の規模はそれほど大きくない。今はまだ中国では男性向けの計画はない」と述べた。
高級化粧品の調合スタッフの孫言さんは、「男性用化粧品は資本側にとっても、ベンチャー投資の世界でも、ずっと競うようにして語られる話題だ。男性用化粧品なんて偽の命題だとか、男性用化粧品はまだニッチな市場にとどまっているとかいう声がある一方で、男性用化粧品こそ未来の発展の大きなトレンドだとする見方もある」と述べた。