4月からパナソニックに加わったQBベンジャミン・アンダーソン
アメリカンフットボール社会人Xリーグの春の関西王者を決めるグリーンボウルトーナメント準決勝が5日、神戸・王子スタジアムであり、秋の本番で2年ぶりの日本一を狙うパナソニックとエレコム神戸が21日のグリーンボウルへ勝ち上がった。
アメフットXリーグ特集
まず第1試合で西の雄パナソニックが49―10でアズワンに快勝。この試合で最も注目されたのが、4月からパナソニックに合流したQBベンジャミン・アンダーソン(米アーカンソー大パインブラフ校)。2015年はXリーグのノジマ相模原でプレーしたが、1シーズンで帰国し、米国で新たに発足するリーグでプレーするはずだった。だが、そのリーグが頓挫。再び日本へやってきた。
24歳のアンダーソンは先発出場。最初の攻撃シリーズでパナソニックファンの心をわしづかみにした。192センチの長身から軽く投げ出した44ヤードのパスがWR木戸崇斗(関学大)へ通った。続けてアンダーソンの豪快なランで31ヤード進んでゴール前3ヤードへ。RB荒木勇人(近大)が軽々とエンドゾーンへ持ち込み、たった4プレーで先制のタッチダウン(TD)だ。
この日、アンダーソンはQB大原隆史(神戸大)との交代出場で、14回中11回のパスを決めて146ヤードを稼ぎ、2TD。3回のランで52ヤード進み、1TDした。昨秋、2連覇を狙ったパナソニックは準決勝でオービックに6―9(延長タイブレーク3―6)で負けた。課題の得点力不足解消へ、飛び道具は手にした。あとは彼をチームに適応させられるかどうかだ。
この日、パナソニックでもう一人光ったのが新人RB藤本拓弥(龍谷大)だ。試合残り42秒、自陣9ヤードからの攻撃でボールを託されると、左サイドを抜け、一気に相手エンドゾーンまで駆けた。TDまで持っていく、という強い意志のにじんだ走りだった。荒木延祥監督は「ほんまにええプレーでした。ああいう状況でも一発を狙う姿勢がいい」とたたえた。新主将のDB辻篤志(大産大)は「若手には『春に与えられたチャンスを生かせ』って言うてるんですけど、藤本は僕がそう言ったら、うなずきながら聞いてましたから」と言った。藤本は5回持って131ヤード、1TD。上々のXリーグデビューになった。
第2試合は西のライバル対決。エレコム神戸が10―7で辛くもアサヒ飲料を下した。アサヒ飲料は10―7に追い上げてから、同点狙いのフィールドゴール(FG)を3本連続で失敗したのが痛恨だった。エレコム神戸の狩野良太ヘッドコーチは「なかなか厳しい試合でしたけど、この試合で勝つと負けるとでは大違い。秋の初戦もパナソニックさんですので、是が非でも21日は勝ちにいきたいです」と話した。アサヒ飲料の松本直人ヘッドコーチは「エレコムに3連敗は痛い。3本もFGをブロックされたのは準備不足と言うしかない」と、苦り切った表情で話した。(篠原大輔)