火災で6人が犠牲になったアパートの玄関には花と飲み物が供えられていた=9日午後6時42分、北九州市小倉北区清水2丁目、日吉健吾撮影
北九州市小倉北区清水2丁目のアパート「中村荘」が全焼し、焼け跡から6人の遺体が見つかった火災をめぐって、アパートの運営会社が一部の入居者と、通常の賃貸契約とは異なる簡素な契約を結んでいたことが、捜査関係者への取材でわかった。遺体の身元特定が難航する一因になっているという。
北九州火災、現場に花束 遺体の身元確認続く
市はアパートを「共同住宅」とみなしてきた。だが、日雇い労働者や生活保護の利用者らが日割り家賃で入居するなど、「簡易宿泊所」としての利用実態がなかったかなどの調査を始めた。
福岡県警の調べによると、運営会社はそれぞれの入居者との間で同一の契約書類を交わしておらず、一部の入居者からは通常の賃貸契約に必要な保証人や身分証明書の提出を求めず、書類に名前や年齢、携帯電話を記すだけで入居させていた。連絡がとれていない6人の中にも、こうした契約を結んだ入居者がいるという。
県警と消防が8日に始めた現場検証は9日に終了。遺体の身元特定につながるものは見つからず、難航している。
県警は失火と放火の両面で捜査をしている。現場検証では、現場から油は検出されていないという。