三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長は10日、業績の低迷を受けて、今秋をめどに早期退職を募る方針を明らかにした。さらに、3月に退任した大西洋前社長の戦略を大きく転換し、地方店で有力テナントを誘致するなど店舗改革も進める考えも示した。同社の2017年3月期決算発表の記者会見で述べた。
杉江社長は、収益悪化の原因として「人件費が大きな問題」と言及。退職金を積み増して早期退職を募って人件費の圧縮をはかるという。
また、「百貨店本業の再構築が必要」として、地方店の再建には「あらゆる手段を使う」と表明。これまで距離を置いてきたニトリやユニクロなど有力テナントの誘致も「生き残りのためにやる」と話した。さらに、杉江氏は地方店の縮小について、「スピード感をもってやる」と話し、これまでの方向性を引き継ぐ考えだ。
同日発表した2017年3月期決算は、売上高が前年比2・6%減の1兆2534億円、営業利益が同27・7%減の239億円、純利益は同43・5%減の149億円で減収減益だった。地方店の採算悪化に加え、訪日外国人客の「爆買い」がなくなって都心の基幹店が振るわなかった。千葉市などの三越店舗を閉めた費用もかかった。
同日発表した18年3月期の業績予想は、旅行会社の買収などで増収になるが、百貨店事業が引き続き低迷し減益を見込む。売上高は前年比0・9%増の1兆2650億円、営業利益は同24・8%減の180億円、純利益は33・2%減の100億円の予想だ。(和気真也、牛尾梓)