インドネシア初の高速鉄道の建設計画をめぐり、日本との激しい競争の末に2015年秋に受注を決めた中国側が14日、約束していた融資に合意した。「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」の首脳会議出席のため、北京を訪れたジョコ大統領が、中国の習近平(シーチンピン)国家主席とともに融資合意の署名式に立ち会った。
インドネシア大統領府によると、融資額は45億ドル(約5100億円)。受注から1年半を経て、ようやく計画が前進する見通しになった。中国の国家開発銀行(CDB)が、建設に当たるインドネシアと中国の合弁会社へ融資する。
首都ジャカルタとバンドン間の約140キロを最高時速300キロ超で、約45分で結ぶ計画。中国が一帯一路の目玉と位置づけて、インドネシア政府の保証なしでの融資など破格の条件で売り込み、円借款による新幹線輸出を狙っていた日本に競り勝った。
ところが16年1月に起工式を実施した直後から工事はほぼ手つかずに。用地取得や建設の手続きが進まず、総事業費の75%の融資を約束していたCDBが貸し渋っていた。総事業費は当初の約50億ドルから土地収用費などで増え、約60億ドルになる見通し。計画の遅れのため、今回の融資合意でも目標の19年開業は困難とみられている。
一方、敗れた日本は、ジャカルタと約700キロ離れたインドネシア第2の都市スラバヤを結ぶ既存の鉄道を高速化する大事業について、同国政府から打診を受けている。この事業にも中国が関心を見せている。(ジャカルタ=古谷祐伸)