講演する国連北朝鮮人権委員会のマイケル・カービー元委員長=東京・永田町の憲政記念館、北野隆一撮影
国連で北朝鮮の人権状況を調べた海外の2氏が旭日重光章受章のため来日し、9日、東京・永田町の憲政記念館で講演した。
北朝鮮による組織的な人権侵害について報告書をまとめた、オーストラリア出身で国連北朝鮮人権調査委員会元委員長のマイケル・カービー氏は「最近、北朝鮮の核開発による安全保障上の脅威が高まり、人権問題への関心がなくなってはいないかと憂慮している。拉致など重大な人権犯罪から目をそらしてはいけない。北朝鮮は説明責任を果たし、公正な国際的調査を受ける必要がある」と述べた。
また、インドネシア出身で北朝鮮の人権状況を調査した元国連特別報告者のマルズキ・ダルスマン氏は「北朝鮮では人々が抑圧され、見えなくなっていて、ブラックホールのようだ。拉致被害者家族の苦しみや悲しみはどこまでも深いが、拉致問題が北朝鮮を国際訴追するうえでの最も有力な事案とも言える」と語った。
日本政府は「日本人拉致問題など北朝鮮人権状況の理解促進に寄与し、北朝鮮に対する説明責任追及の流れを作った」として両氏を叙勲の対象とし、拉致被害者家族らを招いてこの日、記念の講演会を開いた。(編集委員・北野隆一)