京急の非常ボタン=川崎市川崎区、斎藤茂洋撮影
川崎市川崎区の京浜急行・八丁畷(はっちょうなわて)駅近くの踏切で、男性2人が電車にはねられ死亡した事故から15日で1カ月。現場の踏切の非常停止ボタンに押された形跡がなかったため、京急は今月下旬ごろから、沿線の踏切の非常ボタンのデザインを変更し、緊急時の活用を促す方針だ。
川崎踏切事故、検知装置作動せず 非常ボタンも押されず
誰からも尊敬された人…踏切で救出試みた男性の通夜
京急によると、現在はボタンのカバーに「非常ボタン」と表示され、「強く押す」と書かれている。ここに、電車のイラストや「ボタンを押す指」のイラスト、「STOP」「Emergency button」といった英語表記を加えるなどし、外国人にもわかるようにする。反射ステッカーを使い、夜でもボタンが目立つようにするほか、「非常ボタンはこちら」などと表示した案内板も設置するという。
事故後の4月17日以降、「踏切内に閉じこめられた人や車を発見した場合は、非常ボタンを押してください」と車内アナウンスをしており、当面続ける。京急の担当者は「踏切内の異常に気づいたら決して入らず、ためらわずにボタンを押してほしい。踏切内は危険なので、押した後も絶対入らないで」と訴える。
事故は4月15日午前9時10分ごろ発生。横浜銀行勤務の児玉征史さん(当時52)=横浜市鶴見区=が無職男性(当時77)を助けようと踏切内に入り、2人とも亡くなった。神奈川県警は、77歳男性が家族に「死にたい」などと漏らしていたことなどから、自殺を図ったと断定した。(飯塚直人)