耐震補強工事が必要になった国宝松本城の天守。中央が大天守、右が乾小天守、左端が月見櫓=18日午前10時24分、長野県松本市、三浦亘撮影
長野県松本市の国宝・松本城の天守が震度6強~7の地震で一部倒壊する危険性があることが耐震診断でわかり、松本市教育委員会は耐震補強工事の早期着工に向けた検討委員会を7月にも設けることにした。2019年度の着工を目標にしている。
耐震診断は文化庁の重要文化財耐震診断指針に基づいて14年~今年3月に実施した。その結果、糸魚川―静岡構造線断層帯を震源とする最大規模(震度6強~7)の地震では、大天守の3階と5階、乾小天守(いぬいこてんしゅ)の2階で梁(はり)が折れるなどして建物が変形し、月見櫓(つきみやぐら)は柱が折れて倒壊する恐れがあるという。震度5強程度では天守5棟に大きな被害は想定されなかった。
新設する検討委員会では耐震対策工事基本計画と避難誘導計画をつくる。松本城管理事務所によると、耐震補強工事は「最低でも数年にわたる」という。
松本城は年間99万人(16年度)の観光客が訪れる観光名所。工事期間中に天守への入場制限をかけるかどうかも検討委で議論する。(三浦亘)