韓国で9年ぶりに進歩系(革新)政権が誕生することになった。文在寅氏は朴槿恵前政権を厳しく批判し、旧来の積み重なった弊害を意味する「積弊」の清算を唱える。史上初めての大統領弾劾訴追・罷免(ひめん)を経て、いつにも増して政治への関心は高く、国民の期待は大きい。
韓国大統領選、文在寅氏が当選確実 9年ぶり政権交代
特集:韓国大統領選挙
だが、選挙戦では終盤、安保政策をめぐり、保守との対立が激しさを増した。与党になる「共に民主党」の議席は過半数に届かず、混乱を予想する声も多い。
また、韓国の経済成長率は昨年まで2年連続で3%を下回った。「大企業偏重」「貧富の格差」の是正を目指す文氏の政策で、経済が上向くかは不透明だ。国民の期待は、すぐに不満の声に変わりかねない。
そうした社会の不満が日本に向くと、これまでと同じように対日政策が影響を受けることになる。
文氏は対日政策で歴史問題を切り離し、対話を重視すると主張するが、日本が強く求める慰安婦問題の少女像移転の見通しは立たない。文氏は昨年7月、日韓が領有権を争う竹島に上陸している。国内の団結を促すため、日本に強硬な姿勢を示す可能性もある。
また、北朝鮮の核・ミサイル開…