基本ソフト(OS)を不正に改造した米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」をネットで販売したとして、商標法違反などの罪に問われた富山市の無職池田大将(だいすけ)被告(25)の判決が18日、千葉地裁であった。佐藤傑裁判官は懲役1年6カ月執行猶予3年、罰金50万円(求刑懲役2年罰金100万円)を言い渡した。
判決によると、池田被告は2016年3~5月、OSを改造したiPhone6台を4人に計12万4千円で販売し、アップルの商標権を侵害した。
OSの改造は「脱獄」と呼ばれ、ネット上ではその方法も広まっている。公判では、iPhoneの「脱獄」がアップルの商標権を侵害したかが争われた。検察側は、「被告人は『脱獄』という行為がOSを解除するものと認識しながら、スマートフォンを脱獄し、販売していたのだから、商標法違反を認識し、容認しており、商標法違反の故意があった」と主張。一方、弁護側は被告の行為が、「アップルの商標が有する品質保証機能などを害するものではなく、商標権の侵害にはあたらない」として、無罪を主張していた。
判決は、「正規の商品との間に品質の差異があり、商標の品質保証機能が害されている」と認定し、「販売によってアップル社の業務上の信用が損なわれる恐れを軽視することはできない」と指摘。「職業的に繰り返された犯行で、態様は悪質だ」と非難した。一方、「販売された台数が限られており、アップル社の信用に与えた影響を過大視できない」として執行猶予付判決が妥当とした。(滝口信之)